◆巨人６―０ヤクルト（１９８９年７月１５日、東京ドーム）

　巨人の歴史をひもとく「今日は何の日」。１９８９年７月１５日は、斎藤雅樹が、１１試合連続完投勝利の日本新記録を達成した日です。

　エースにふさわしい完璧なピッチングだった。散発３安打、三塁を踏ませずシーズン５度目の完封勝ち。斎藤が鈴木啓示（近鉄）の持つ連続完投勝利の記録を１１年ぶりに更新した。

　「すごい、という実感が湧かないんです。ボクみたいな未熟者が鈴木さんを追い越すなんて、なんか申し訳ないですね」。会見はテレビカメラ７台、報道陣約５０人が集まり、まるで優勝したような熱気だが、わずか９９球の省エネ完投を演じた斎藤だけは平然と構えていた。

　一時は打者転向の話が出て、「自分でもピッチャーは諦めた方がいい、と思ったことも」あった。だが、斎藤は投手であることにこだわった。「ショートはいつでもできる。ピッチャーは一度諦めたら、終わりじゃあないですか」。右ひじを壊して落ち込んだ時も、常にプラス思考でいた。８２年秋、オーバースローだった斎藤をサイドスローに変えさせた藤田監督は、「花を咲かせてくれたよ」と“まな弟子”の記録に喜んだ。



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