20という数字は、ダヤン・ビシエドに変化を促す最後通告である。今季の併殺打はリーグ最多。実は中日勢が5連覇であり、うち3度はビシエドだ。とはいえ併殺打は強打者にとっての陰であり裏の面。できれば寛容でありたい数字にため息が出てしまうのは、光と表が物足りないからだ。

　打率はリーグ5位、得点圏打率も3割を超えているが、OPS（．792）は同11位にランクダウン。優等生だが、4番としての迫力には明らかに欠ける。離日している本人に代わって、佐藤秀樹チーフスコアラーに併殺打の多さを語ってもらった。

　「4番ですからベンチもチャンスで進塁打は求めていないはずですし、本人も意識してはいないと思います。ただ、懐を攻めてくる相手に対して、強引に引っ張りに行かず、結果として右方向へのゴロになっている印象です。凡打だとしても、レフトへの強いフライはもちろん、引っ張りのゴロ（での併殺打）なら仕方ないんですが…」

　今季の平均打球角度は11度強。右投手のシュートと左投手の逃げる変化球には、ゴロ率が顕著に上がる。彼の併殺打が多い理由は、全力疾走を怠っているからでもパワーが足りないからでもない。そもそもゴロが多いからだ。